かまぼこコラム
2024年10月8日
かまぼこに違いアリ? リテーナかまぼこと蒸しかまぼこ
夕月で製造している板かまぼこは、「リテーナかまぼこ」と「蒸しかまぼこ」の2種類です。
「かまぼこなんてどれを買っても同じでは?」と思うかもしれませんが、
ちゃんと違いがあるんです。
今回は、そんな「リテーナかまぼこ」と「蒸しかまぼこ」のお話です。
◆リテーナかまぼこ
新潟県の「竹徳かまぼこ」が1960年代ごろに開発したかまぼこの製造法です。
技術の普及を妨げないようあえて特許をとり、
全国蒲鉾水産加工業協同組合連合会に無償で寄贈したため、
全国の同業者がリテーナ成形かまぼこを生産できるようになりました。
ゲーム業界でいうところの任天堂さんみたいですね。
さて、この「リテーナ成形」という技術。
板にすり身を盛り付けたあと、全体をラミネートフィルムで密封してから
「リテーナ缶」という金属缶に詰め、缶ごと蒸しあげる製法です。
缶に詰めるので型崩れが少なく、大量生産に向いています。
包装してから蒸すことでフィルムが密着し、雑菌がつかないので、
保存性も高くなるという優れた製法なのです。
そんなリテーナ成形技術の恩恵を、夕月も受けています。
現在、リテーナかまぼこは夕月の主力商品。
代表的なリテーナかまぼこは、小売店でおなじみの「ミニホワイト・ミニレッド」などです。
リテーナかまぼこは蒸しかまぼこにくらべて安価に製造できる、
食卓の強い味方なのです。
◆蒸しかまぼこ
板(正しくは唐板といいます)にすり身を盛り付けるところまではリテーナと同じで、
そのあとの工程で缶に入れずに、蒸し機で蒸しあげるのが「蒸しかまぼこ」です。
現在のような板つきかまぼこを小田原式といい、作られるようになったのは江戸時代と言われています。
蒸しかまぼこはリテーナとくらべると食味に優れています。
年末年始に登場する少しお高めのかまぼこは、蒸しかまぼこが主流です。
流通している蒸しかまぼこは、パッケージの表示部分を見ると
必ず「蒸しかまぼこ」の表記が入っています。
お店で選ぶ時は参考にしてみてくださいね。
ちなみに、夕遊庵(美味一膳)で取り扱っている
「のどぐろ入御蒲鉾」「特上蒲鉾」「夕月紅白蒲鉾」も全て蒸しかまぼこです。
※バナークリックで、「美味一膳」の板かまぼこのページに飛びます
◆かまぼこに違いはあるの?
「リテーナ」「蒸し」といった製法の違いに加え、
すり身のグレードや配合で味や価格が変わります。
年末に出回るかまぼこが高価なのは、相応の理由があるのです。
また、板かまぼこはシンプルな食品だけに、各メーカーの個性が出ます。
複数のメーカーの板かまぼこを食べ比べる……という機会はあまりないかもしれませんが、
実際に比べてみると、メーカーによって食感や味の違いがかなりあることがわかります。
持ちよって「利きかまぼこ」してみるのも楽しいかもしれませんね!